飯塚高史引退試合は新日海外戦略の大きなヒントとなりえるか!?

2019-03-16


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photocredit:njpw

NEW JAPAN ROAD ~飯塚高史引退記念大会~https://www.njpw.co.jp/tornament/176181?showResult=1

引退試合という名の芸術

いやー、もう1週間ほど経とうとしてますけどワールドで何回見たかわかりませんよ。試合を見て各選手スタッフの反応見てお客さんの反応見て飯塚さんの細かい表情見て野上アナの実況に注目して見て、さらには音切って見てみたりして、ここ1週間エンドレスでした。おかげでHONOR RISINGのサムライ生放送見逃すとこでした。というかTKオライアン選手の色気がやばかったですね。あれで20代とかマジか!コルトカバナ親分を新日で見れるのも新鮮で良かった。あとはなんといってもグレシャム君!天下一ジュニアでの謙虚な姿に心つかまれた私としては、グレードアップして新日本登場してくれたのがホント嬉しかったです!って飯塚さん関係ないですね。まぁ、いいや。とりあえずまだの方はこの「グレシャムくん良い話」も読んどいてね。

飯塚高史という稀有な存在

はてさて話を戻しましょう。飯塚高史というレスラーは本当に稀有なレスラーです。飯塚選手をあえて『怪奇派』という括りで考えてみると、現代において「絶滅危惧種」といっていいのではないかと思います。「カミングアウト」しているWWEなんかを例にすればマンカインドは自伝を出しアンダーテイカーはポッドキャストをやりスティングは素顔でフレアーのお誕生日会(というスキット)に参加しているわけです。んじゃ新日本より自由度の高いインディーならどうなの?と目を向けても観客から恐れられるような怪奇派は私の知る限りではもう見当たりません。怪奇派レスラーが会場を練り歩くよりも、バラモン兄弟が臓物をボールに見立てて客席に向けバットをフルスイングしたり、男色ディーノが狩りをすることの方が断然恐怖、それが2019年の現実なのです(話はそれますがお客さんにとって「これ、やばいっしょ」と思わせる客席練り歩きはスーパーレザーのソレが、今のところ最後だった気がします)。

しかも飯塚さんのスゴイところはそれをどメジャーの新日本で、リングやバックステージのマイクパフォーマンスも結構重要な要素としてあげられる新日本で公の発言をすることもなく、11年弱も続けてきたことです。そんな飯塚さんがこのスタイルを崩すことなく、でも変身前からのオールドファンにも訴えつつ、引退を演出する。この超難題に新日本はあの日、答えなくてはならなかったのです。

「これ以外ありえない」引退試合、そのポイント

それでは実際行われた引退試合を解体して時系列で振り返ってみましょう。

  • 後楽園客席後方からの入場で観客の気分を盛り上げる
  • その前に野上アナをメインから入場させて実況させることによって「ここに野上さんいますからねー」と注目を集めといてからの襲撃。
  • 天山のアピール。一旦フリーズしてから襲撃する飯塚、という一連の流れをなぞる。その後もふたりの絡みを中心に試合を構築。
  • 途中、みのるとのかみつき攻撃共演とかもあったりしてプレミアム(notナベちゃん)な感じをさらに演出。
  • 終盤、オカダ相手に「孝之ムーブ」を解禁。レインメーカー返しからの、一連の試合で出してない膝十字解禁。天山ではなくオカダ相手に出すことで「隠れた実力者」ぶりを観客にアピール。でもブリザードは決まらない(←藤波さんのドラゴンスープレックス、フルネルソンまで、に通じるわびさび)。
  • 一連のモチーフであった友情Tシャツを絡めてのフィニッシュ。
  • 試合後、天山のアピール、でもやっぱり最後は裏切り。
  • 噛みつき、イス、アイアンフィンガーとヒール転向後の代表的なムーブを一通り見せる
  • でもしっかり握手はしてる
  • 観客席練り歩き、最後の会場一周。お客さんにご挨拶(←セレモニーの代わりとなる儀式)
  • タイチのマイクアピールに答えないことで飯塚の稀有な存在を強調
  • そして同期でもある、みのるによるテンカウントゴング
  • タイチがアイアンフィンガーを手に取って「未来」をも見せる。

こんなに内容が詰まりに詰まった試合はなかなかないと思います。さらに飯塚さんがいなくなったあとに響く「飯塚コール」、スタッフの涙声・泣き顔、そこまで含めて完成した『引退試合という名の芸術』を見たような気がしました。

そしてこの試合が新日本海外戦略へのキーになる

『最後は正気に戻ってセレモニーをして欲しかった』

個人的には正直ありえない意見なのですが、意外とSNSでも散見された言葉でした。阿部リングアナの客出しアナウンスにブーイングも一部見られました。
でも新日本はこの引退試合にした。

私はこの判断に全面的に賛同します。

この試合を見てモヤモヤした方もいたかと思います。飯塚さんのその後が気になる、と書いていた方もしました。でも。このモヤモヤこそが『カミングアウトしていない』日本のプロレスの面白さである思います。これがWWEなら数日後にバックステージの様子がおさめられたムービーとかが配信されたりするんでしょう。でもそこは見た方の想像に委ねる。それが日本のプロレスの良さであり、内藤選手言うところの 『プロレスファンにとって一番楽しく贅沢な時間』 を生み出す力になっているんじゃないでしょうかぁ~(内藤さん口調で)。

そしてこの日本では「抒情」とか「情緒」とか「機微」とか言われている、外国語には訳しにくいキーワードたちが、今後新日本プロレスが海外で戦っていくためのキーになるんじゃないか、とすら思っています。

WWEのストーリーラインは近年どんどんわかりやすくなっている気がします。それは人種や世代の幅を持たせたりPGの関係だったりいろいろあるんでしょうけど、新日本に付け入る隙があるとすればそこなんではないか、と思うのです。WWEは島国のちょっとした企業なんかが太刀打ちできないマーケティング力を持った企業です。その力を使っていろいろな層に、いろいろなレスラーやブックや演出でアプローチ出来る恐ろしい団体なのです。

だからそのマネをしてはダメ。あくまで新日本はそんな「アプローチ」じゃなくて新日本プロレスという「パッケージ」で勝負してもらいたい。その時重要になるのは「ベビーフェイス」や「ヒール」「どのチームの所属」「この選手とこの選手のブック」なんて事柄だけでは消化できない、設定の行間に見える日本人独特の細やかな『見るものの想像力』を必要とするストーリーだと思うのです。

昨年のKING OF PRO-WRESTLINGで行われた3WAYでのIWGP戦やロス大会でのGLとヤングバックスの試合中に行われたあの「友達に技をかけるのを躊躇うスキット」。あれに違和感を覚えた方もいたかと思います。そうなのです。別にあんなしぐさ、わざわざいれなくてもその関係性から察することが出来る。それが日本のプロレスに慣らされた日本のプロレスファンである僕らなのですから。

最近『プロレスTODAY』でメイ社長のロングインタビューが公開されました。その一部を引用します。

山口:海外でいうとWWEがあったり、AEWが立ち上がったりしますが、新日本プロレスとしての攻めというか向かう方向性はどのようにお考えでしょうか?

メイ社長:我々は今年で47年の歴史があり、新日本独特のプロレスを展開しているわけで、その独特さというか、違いというか、我々の特徴をアピールしていくのが一番の重要点です。

そのためにも先ほどの入口となる動画だとか、SNSだとか、興行ももちろんそうですが、新日本らしさを見せていく。これが一番大事だと思います。それが誇りであり、日本のプロレスなんです。

山口:メイ社長の中では、新日本プロレスという名前を海外に発信していく際にネーミングを変えていきたいとかはあるんですか?

メイ社長:逆ですよ。これは我々、日本のプロレスですから。それはあえて『新日本プロレス』で訴えたい。

山口:ジャパンブランドのプロレスということですね。

メイ社長:そうです。そこなんです!日本のプロレスなんです。伝統、スタイルや47年の歴史全部含めて、新日本プロレスなので。それをアピールしていきたいですね。

https://proresu-today.com/archives/73844

新日本プロレスのスタイルは、メイ社長をはじめとした外国人の方にもきっと刺さると確信しています。

最後に。

最近はあまり見なくなりましたが、どうとでも取れるようなラストシーンの映画が昔はたくさんありました。中庸な表現で見てる人の想像に委ねるエンディングです。大人でも難しい、子供ではいまいち分かりにくいその映画を『かっこいい』という理由だけで子供の頃、無理して背伸びして観たものです。新日本プロレスはそういった見せ方で世界に勝負してもいいのではないか。

飯塚選手の引退試合を観戦して改めてそう思わされた私なのでした。

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